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木造住宅の耐用年数は何年?本当の寿命と長く住むためのポイント

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木造住宅の「寿命」は何年か、ご存じでしょうか。

一般的には「30年」といわれることが多いですが、インターネット上には「22年」という数値も見られますし、法隆寺のように「1,000年以上」建ち続ける木造建築物もあります。

木造住宅の本当の寿命は、どれくらいなのでしょうか。 ここでは、木造住宅の耐用年数について解説するとともに、より長く住み続けるために必要なポイントもお伝えします。

 

木造住宅の「耐用年数」とは?



家の寿命を表す用語に、「耐用年数」という言葉があります。
住宅の耐用年数には、「法定耐用年数」「物理的耐用年数」「経済的耐用年数」「期待耐用年数」という4つの指標があり、それぞれの定義によって木造住宅の寿命は異なります。 
ここで、4つの耐用年数の違いについて解説します。

法定耐用年数


法定耐用年数とは、「税制上の資産価値がなくなるまでの期間」を意味し、不動産などの減価償却資産における固定資産税の課税額を求める際に用います。
木造住宅の法定耐用年数は、22年と定められています。

建物や土地などを取得すると固定資産税が毎年課せられますが、このうち建物は経年劣化により評価額が年々下がっていき、納税額も下がります。
木造住宅の場合は、築22年までは資産価値が下がり続け、築23年以降は価値がゼロになるということです。
なお、23年以降も一定の固定資産税が課せられ、建物の固定資産税がゼロになるわけではありません。

物理的耐用年数


物理的耐用年数とは、工学的な見地から「建物の構造材がどれくらい持つかを示した年数」のことです。
実際に住み続けられる年数に近く、木造住宅の場合は約50~60年といわれます。 

ただ、使用する木材や立地環境、天候などの気象条件、メンテナンス状況など、さまざまな要因によって物理的耐用年数は変わります。

経済的耐用年数


経済的耐用年数とは、「不動産市場における価値がある期間」のことです。 
中古物件の売却で不動産鑑定をする際などに用いられます。 

不動産市場における価値は、築年数のほかにも立地や間取り、設備、メンテナンス状況など、さまざまな要因により異なります。
経済的耐用年数は「物件の需要が高ければ長くなり、需要が低いと短くなる」のです。 

なお、不動産鑑定では木造住宅の経済的耐用年数を約25年として査定されることが多いようです。

期待耐用年数


期待耐用年数とは、通常のメンテナンスを続けた場合に使用可能な範囲を表す耐用年数のことです。
最近使われるようになった言葉で、中古住宅の需要喚起を図ることを目的に定められました。 

期待耐用年数は、適切なメンテナンスやリフォームなどをすれば長くなり、住宅の評価額がアップすることも期待できます。

木造住宅の寿命は昔より延びている?


上で説明した4つの耐用年数のうち、その家で住み続けられる本当の寿命に近いのは、「物理的耐用年数」でしょう。
つまり、木造住宅の本当の寿命は、約50~60年が平均的といえそうです。

ただ、最近は建築技術の進歩にともない建物の性能が向上し、物理的耐用年数は長くなっています。
これについて、2013年に発表された有識者の研究論文でも「住宅の寿命は昔より延びている」と報告されています(※)。

この論文によると木造住宅の平均寿命は、1997年の調査では約43年だったのに対し、2006年の調査では約54年に、2011年には約65年になったとしています。
わずか15年ほどの間に、木造住宅の寿命は20年以上も延びたのです。

なお、この論文で使われている寿命の定義は「竣工から解体までの期間」としており、厳密には物理的耐用年数ではないことに留意する必要があります。

(※)参考:鑑定おおさか No.46「建物の寿命と耐用年数



家の寿命はメンテナンス次第で延ばせる



4つの耐用年数の説明でお伝えしたように、家の寿命はさまざまな要因によって変わります。
なかでも、住み始めてからの「メンテナンス」は、寿命を左右する重要なポイントです。
その家に適したメンテナンスをこまめに実施すれば、寿命をさらに延ばすことが期待されます。

ここで、家の寿命を延ばすためにやっておきたい住まいのメンテナンスの方法を、いくつか紹介します。

小まめに掃除する


普段の掃除は、家の寿命と密接にかかわります。
たとえば、汚れやカビなどを見つけたら、その場で取り除くことにより、建材や設備の劣化を抑えられます。
湿気がこもりやすく劣化が進みやすい水まわり部分は、特に注意したい箇所です。
日頃の掃除で「カビが生えていないか」「キッチン周りの壁や床が傷んでいないか」などチェックしましょう。

また、外壁などの建物の外観も、劣化しやすい箇所です。
外壁にひび割れがあると、そこから雨水が浸入して家の構造部に影響を与える可能性があります。

素人では判断できない部分もあるかもしれませんので、不具合箇所を見つけたら専門業者に相談し、適切な対応をしてもらいましょう。

定期点検・メンテナンスを依頼する


適切なメンテナンスを実施するには、プロの力を借りることも大切です。
特に外観は「外壁のコーティングが損傷していないか」「瓦が割れていないか」など、普段の掃除では確認できない欠陥が見つかることもあるでしょう。
施工会社などへ定期的に点検を依頼し、必要に応じて修繕してもらうことで、家の寿命を延ばせます

なお、点検・メンテナンスをこまめに実施すれば、後にリフォームをする際の工事箇所や費用を抑えることにもつながります。

修繕計画を立てておく


メンテナンスが必要な時期は、場所や設備によっても異なります。
一例として屋根や外壁の塗装は、材質にもよりますが、10~20年周期で実施するのが一般的です。
給湯器などの住宅設備にも寿命がありますから、適切な時期に交換しましょう。 

 「いつ、どこのメンテナンスが必要か」といった修繕計画をあらかじめ立てておき、それぞれ適切なタイミングで実施することも、家の寿命を延ばすことにつながるのです。

住宅の劣化を判断するには?


建物の耐久性や耐震性といった機能に影響を与える劣化は、プロの目でなければ判断できないこともあります。
適切な判断をしてもらうためには、施工会社が提供する定期点検やアフターサービスの内容も重要です。
サービス内容は業者によって異なりますから、保証も含めてどこまで対応できるかを確認することも、施工会社選びの大切なポイントといえます。

また、ホームインスペクション(住宅診断)というサービスも、家の劣化判断に役立ちます。
ホームインスペクションとは、第三者の専門機関が住宅の劣化具合を調査してくれるサービスのことです。
雨漏りやシロアリ被害といった現状の劣化状況を確認できるのはもちろん、「これから修繕が必要になる箇所や時期」「修繕費用の目安」といったアドバイスも受けられ、今後の改修計画を立てるうえで参考になるでしょう。


寿命が近づいた家はどうすればいい?



どれだけ頑丈に建てられた家でも、やがて寿命を迎え、リフォームや建て替えが必要になります。
リフォームと建て替えで迷ったら、以下の内容を参考に決めると良いでしょう。

リフォームの方が良いケース


劣化や損傷が少ない家であれば、リフォームの方が得策です。
建て替えよりも費用を抑えられますし、工事内容によっては家に住み続けながら進めることも可能です。

ただし、住宅の構造によってはリフォームでは実現できないこともあります。
たとえば、間取りを変更するために柱や壁を取り除くと、家の耐震性に影響を与え、希望する間取りに変更できないという建物もあります。

また、工事を始めてからシロアリ被害が発見されるなど、基礎や構造などに重大な欠陥が見つかった場合、追加の工事費用が生じることがあります。
劣化具合によってはリフォームでは対応できず、建て替えが必要なケースも少なくありません。
リフォームを計画するときは、普段の生活では見えない部分の劣化状況も調査することが大事です。

建て替えた方が良いケース


建て替えは、リフォームでは対応できない改築を求めたり、耐震性など家の機能に重大な問題があると確認されたりした場合に検討すると良いでしょう。
建て替えなら、設計も1からおこないますので、間取りも自由に決められます。
また、最新の技術や設備を採用することで、安心かつ快適に暮らせる家を建てられることもメリットです。

懸念点は予算です。建て替えは既存の住宅を解体して新しい家を建てるため、リフォームよりも工事費用がかかります。
また、仮住まいも必要になりますから、資金計画をしっかり立てることが求められます。

家の劣化状況や工事内容などによっては、リフォームより安くなるケースもあります。
どちらかで迷われたら、施工会社に見積もりを取り、総合的に判断すると良いでしょう。

まとめ


建築技術の進歩にともない、家の寿命は年々長くなっています。
ただ、住み始めてからのメンテナンスを怠ると、せっかく延びた寿命を縮めてしまいます。家を購入したら長期的な修繕計画を立て、計画通りに実施することにより、本来の家の寿命を保てるようになるのです。

ただ、物理的には住み続けられる家でも、家族構成やライフスタイルの変化に伴い「暮らしにくい」と感じることもあるでしょう。
その場合でも、家の寿命を迎えることがあります。

 寿命を迎えたら、リフォームか建て替えを検討することになりますが、どちらかで迷ったら現在の建物の状況を明確に把握するところから始めましょう。
その上で費用だけでなく、将来を見据えてどちらの方が長く安心して暮らせるかを総合的に判断し、リフォームか建て替えかを決めることが大切です。
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