マイホームといえば、以前は「新築の戸建住宅」が定番でした。
ただ、最近では「中古の戸建住宅を購入して、自分好みにリフォームやリノベーションする」という考え方の人も増えているようです。
新築の家にも、リフォームやリノベーションをした中古の家にも、メリットもあればデメリットもあります。
どちらを選ぶか迷ったときは、それぞれの特徴を把握して決めるのも一手です。
そこで、「新築の家」と「中古+リフォーム・リノベーションの家」のメリットとデメリットをまとめました。
新築物件のメリット
設計の自由度が高い
新築のメリットの一つが、自由度の高い家づくりができることです。
特に注文住宅なら、設計も1からしていくため、間取りも設備も外観デザインもすべて自分好みにできます。
分譲建売住宅でも、現代の多様なライフスタイルに合わせた住まいが多いため、自分たちに適した家を見つけやすいでしょう。
最新の住宅設備を導入できる
キッチンやトイレ、照明器具などの住宅設備に、最新の製品が使われていることも新築を選ぶメリットです。
注文住宅であれば、お気に入りの設備を採用することも可能でしょう。
中古物件でも、最新の住宅設備に取り換えることは可能ですが、キッチンなどのビルトイン設備は工事費用が増えたり工期が延びたりする場合があります。
構造面で安心感がある
いま建設している新築住宅は、現行の耐震基準などをすべて満たした家です。
地盤や基礎、柱や梁といった構造も、昔と比べて頑丈につくられていますから、災害に強い家を実現しやすくなります。
また、気密性や断熱性などの性能も昔の家より優れており、住み始めてからの快適性やランニングコストが安くなるという点も、新築のメリットです。
税制面で優遇されやすい
住宅購入時にはさまざまな税金が課せられますが、新築住宅には優遇措置が多いこともメリットの一つといえます。
たとえば、新築戸建住宅の固定資産税は住み始めてから3年間、税額が2分の1に軽減されます。
また登録免許税は、中古の建物(移転登記)だと税率は2.0%ですが、新築(保存登記)は0.4%です(2024年3月31日までは、中古が0.3%、新築は0.15%に軽減されます)。
このほか、不動産取得税も新築のほうが優遇されており、中古よりも節税効果が期待されます。
新築物件のデメリット
価格が高い
新築物件のデメリットは、購入価格が高いことです。
建物の評価額も高くなりますから、固定資産税なども中古より高くなりやすいです。
完成イメージがしにくい
注文住宅は、建物が完成するまで物件を確認できません。
このため、住み始めてから「日当たりや風通しが悪い」「生活導線が悪い」といった問題が発覚することがあります。
建売住宅でも、建設中の物件だと内部を確認できませんから、住み始めてからトラブルになることもあります。
注文住宅は打ち合わせの時間を確保する必要がある
注文住宅は、施工会社と何度も打ち合わせを重ねながら家づくりを進めます。
特に設計時には頻繁に打ち合わせを行うため、その時間を確保しなければいけません。
打ち合わせの時間を確保できない方は、家の完成時期が遅れる可能性もあります。
入居時期が決まっている方や、早く引っ越したい方は、建売住宅を選択した方がスムーズです。
立地や環境に恵まれない物件もある
都市部において、立地の良い土地には昔から人が住んでいます。
そのため、新築が建てられる土地は立地に恵まれない物件も多くみられます。
もちろん、立地の良い土地が売買されることもありますが、競争率が高い上、土地代も高くなるのが懸念点です。
中古物件+リフォーム・リノベーションのメリット
改築費を含めても新築より安い
中古物件にリフォームやリノベーションをする一番のメリットは、新築より安く手に入ることです。
物件価格は、同じ条件の家なら新築の6~7割くらいで購入できますから、フルリフォームをしても新築を買うより安くなりやすいのです。
ただ、工事内容によっては新築と大差がないケースもあります。
物件を確認した上で購入できる
中古物件はすでに完成している家ですから、内覧した上で購入の判断ができることもメリットです。
室内を歩いたり設備を使ったりしながら、使いづらい箇所などの課題を洗い出し、そこをリフォームやリノベーションで改善することで、住みやすい家を実現できます。
また、成熟した街であれば周辺環境も一緒に確認できます。
新築より物件数が多い
不動産市場全体で比べると、新築よりも中古の方が流通量は多いです。
また、築年数も異なるため、間取りやデザインなどのバリエーションも豊富です。
希望条件によっては、自分に適した家が見つかる可能性が高まり、リフォームやリノベーションのコストを抑えることも期待できます。
立地や環境のよい物件も多い
駅近などの立地条件がよい物件も中古の方が多く、掘り出し物件を見つけやすいことも魅力の一つでしょう。
また、昔の家は敷地の広い物件も多く、ゆとりある家を実現できることもあります。
「立地がよく、広々とした家を、新築よりも安く手に入れられる」ことも、中古のメリットといえるでしょう。
中古物件+リフォーム・リノベーションのデメリット
構造を確認できない
すでに完成した家は、基礎などの構造が確認できません。
このため、リフォームやリノベーションの工事を始めてから腐食部分が見つかったり、シロアリの被害を受けていたりと、問題が発覚するケースもあります。
状態によってはリフォームでは対応できず、建て替えの検討も必要になることがあります。
購入する前に、専門家によるホームインスペクション(住宅診断)をしてもらうなど、可能な限り家の状態をチェックすることも大事なポイントです。
瑕疵担保期間が短い
上記のような欠陥が見つかった場合、新築であれば10年間の瑕疵担保責任が売主に求められます。
しかし中古の場合は、売主が不動産会社などの法人であれば2年間、個人の場合は契約内容によるため保証がない物件もあります。
契約する前に、瑕疵担保責任の期間もしっかり確認することが大切です。
構造によってはリフォームで実現できないケースもある
建物の構造によっては、フルリフォーム・リノベーションでも実現できないことがあります。
とくに間取りを大きく変える場合は、壁や柱を取り除くと耐震性に大きな影響を与えるといった課題が生じ、広々とした部屋を実現できない物件もあります。
物件を選ぶ際には、施工会社などと理想の間取りを実現できるかを一緒に確認しながら探すと、スムーズに進められるでしょう。
メンテナンス費用が高くなりやすい
マイホームで長く安心して過ごすには、適宜メンテナンスを実施することが大事です。
新築であれば、引渡しから10年間は最低限のメンテナンスで済みますが、中古の場合は数年後に大きなメンテナンスが必要になる物件があるかもしれません。
物件価格は安くても、ランニングコストが新築よりも高くなる可能性もありますので、物件選びは慎重に進めることが大切です。
新築と中古+リフォーム・リノベーションの判断基準
新築を購入するか、中古を購入してリフォームやリノベーションをするかで迷ったら、以下の項目で比べるのも一手です。自らの優先順位が高い項目を重視して判断しましょう。
費用で比べる
住宅の取得費用で比べた場合、「中古+リフォーム・リノベーション」の方が得策です。
国土交通省の調べによると、住宅購入資金の平均価格は、新築の注文住宅が5,436万円、新築の分譲建売住宅が4,487万円に対し、中古の戸建住宅は3,340万円という結果が出ています。
中古住宅のフルリフォーム・リノベーションに1,000万円をかけたとしても、新築の分譲建売住宅よりも安くなる計算です。
※ 参考:国土交通省住宅局「令和4年度住宅市場動向調査報告書」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001610299.pdf
設計の自由度で比べる
設計の自由度で比べると、1から建てる「新築」の方が有利といえます。
中古は、間取りが変更できないなどリフォームでは対応できない物件もあり、自由度に難があります。
もっとも、中古でも希望に近い物件を選ぶことができれば問題ないでしょう。
立地で比べる
立地を重視するなら、「中古+リフォーム・リノベーション」の方が掘り出し物件を見つけやすいです。
新築にも好立地の物件はありますが、同じ条件で比べると価格の点で中古に軍配が上がります。
希望する地域で新築が見つからなければ、中古に切り替えて探すのも一手です。
住宅ローン審査の通りやすさで比べる
住宅ローンは、家や土地などの不動産を担保に融資する商品です。
このため、担保評価の高い「新築」の方が審査に通りやすいといわれます。
フラット35のように、建物に関する審査基準が重視される住宅ローンの場合、中古だと融資の条件をクリアできず借り入れできないことも考えられます。
工期で比べる
建設期間だけで比べると、あまり大差はありません。
仮に、40坪くらいの木造2階建て住宅で工期を比べると、新築なら4ヵ月、中古のリノベーションだと3~5ヵ月程度です。
もっとも、リフォームやリノベーションは工事箇所が少なければ1ヵ月程度で完了する場合もありますが、地盤改良や補強工事などが必要になると長引く恐れもあり、ケースバイケースです。
まとめ
新築にも、中古+リフォーム・リノベーションにも、それぞれメリットとデメリットがあるため、どちらが良いかは人それぞれ異なります。
設計の自由度や長く安心して暮らせる家を求める方なら新築の方が実現しやすいでしょうし、価格や立地を重視する方なら中古の方が希望の物件を見つけやすいかもしれません。
「住まいに何を求めるか」を家族で相談しながら、理想の暮らしを実現しやすい方をトータルで判断しましょう。