転職したばかりでも、住宅ローンを組める可能性はあります。
実際に、転職直後から住宅ローンの申し込みを受け付けている金融機関もあります。ただし、住宅ローン審査では勤続年数や年収、雇用形態、他の借入状況などが総合的に確認されるため、転職前と比べて審査条件が変わることがあります。
結論
「転職したら住宅ローンを組めない」というわけではありません。ただし、転職のタイミングや勤続年数、転職後の収入、金融機関によって審査条件は異なります。
近年はキャリアアップや働き方の変化によって転職する人も珍しくありません。住宅購入を考えている時期と転職のタイミングが重なり、「転職前に住宅ローンを申し込むべき?」「転職したばかりでも審査に通る?」と悩む方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、転職が住宅ローン審査に与える影響や、転職前・転職後の違い、審査中に転職する場合の注意点、転職直後に住宅ローンを利用する方法などをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
転職したばかりでも住宅ローンは組める?
転職したばかりでも、住宅ローンを申し込める金融機関はあります。
一方で、多くの金融機関が住宅ローン審査で「勤続年数」を確認しているため、転職後の勤続期間によっては、選べる住宅ローンが少なくなる可能性があります。
国土交通省の「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、住宅ローンの融資審査で「勤続年数」を考慮すると回答した金融機関は93.9%でした。
また、勤続年数について具体的な基準を回答した金融機関では、「1年以上」が612機関と最も多く、「2年以上」が53機関、「3年以上」が128機関となっています。
「転職後1年未満=住宅ローンを組めない」ではありません
金融機関によっては、転職直後や勤続数か月でも申し込みが可能です。給与明細や雇用契約書、職歴などを確認して審査する場合もあります。
そのため、転職直後に住宅購入を検討している場合は、勤続年数だけで判断せず、金融機関ごとの申込条件を確認することが大切です。
参考:国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」
転職直後が住宅ローン審査に影響する理由
住宅ローンの審査で勤続年数が確認される理由の一つは、継続して返済できるだけの「収入の安定性」を判断するためです。
同じ勤務先で一定期間働いている場合は、これまでの収入実績を確認しやすい一方、転職直後は新しい勤務先での年間収入がまだ確定していないことがあります。
また、住宅ローンでは勤続年数だけでなく、年収、返済負担率、雇用形態、勤務先、他の借入状況、信用情報など、さまざまな項目を総合的に確認します。
そのため、「転職した」という事実だけで決まるのではなく、転職後の収入や働き方を含めた返済能力がどのように評価されるかが重要になります。
転職のタイミングで住宅ローンへの影響はどう変わる?
住宅ローンと転職を同時期に検討している場合、「いつ転職するか」によって注意点が変わります。
| 転職のタイミング | 主な注意点 |
|---|---|
| 住宅ローン申込前 | 転職後の勤続年数や収入などをもとに審査されます。 |
| 事前審査後〜本審査前 | 申込時の勤務先や年収が変わるため、追加確認や再審査になる可能性があります。 |
| 本審査後〜融資実行前 | 審査時の条件が変わるため、金融機関への申告や再確認が必要になる場合があります。 |
| 融資実行後 | 住宅ローン審査は終了していますが、勤務先変更の手続きや返済計画には注意が必要です。 |
特に注意したいのは「融資実行前」の転職
本審査に通過した後であっても、融資が実行される前に勤務先や収入などの条件が変われば、金融機関から追加確認を求められる可能性があります。転職予定がある場合は自己判断せず、事前に金融機関へ相談しましょう。
転職前と転職後、どちらで住宅ローンを組むべき?
転職を予定している方にとって悩みやすいのが、「転職前に住宅ローンを申し込むべきか、それとも転職後まで待つべきか」という点です。
どちらが適しているかは、現在の勤続年数、転職後の収入、住宅を購入したい時期などによって異なります。
転職前に申し込む場合
現在の勤務先で一定の勤続年数があり、安定した収入実績がある場合は、現在の勤務状況をもとに住宅ローン審査を受けられる点がメリットです。
ただし、住宅ローンの申込後から融資実行までの間に転職する予定がある場合は注意が必要です。また、転職によって収入が下がる予定であれば、転職前の年収だけを前提に借入額を決めると、返済開始後の負担が大きくなる可能性があります。
転職後に申し込む場合
転職によって収入が上がる場合や働き方が大きく変わる場合は、転職後の収入をもとに現実的な返済計画を立てられるメリットがあります。
一方で、転職直後は勤続年数が短いため、利用できる金融機関が限られたり、給与明細などの追加書類を求められたりする場合があります。「転職前なら必ず有利」「転職後なら必ず不利」と考えず、それぞれの状況を確認することが大切です。
転職後に住宅ローンを申し込むメリット
転職後は勤続年数が短くなる点に注意が必要ですが、転職後の収入を前提として資金計画を立てられるメリットもあります。
転職後の収入をもとに返済計画を立てられる
転職によって給与や賞与、働き方などが変わる場合、転職後の収入を確認してから住宅ローンを申し込むことで、実際の家計に合わせた返済計画を立てやすくなります。
転職前の年収を前提に借入額を決め、その後に収入が減ると、毎月の住宅ローン返済が家計の負担になる可能性があります。
年収が増えれば選択肢が広がる可能性がある
キャリアアップなどによって転職後の年収が増えれば、借入可能額や選択できる物件の幅が広がる可能性があります。
ただし、転職直後は年間の収入実績がまだないため、「年収が上がった=必ず借入可能額が増える」とは限りません。金融機関によって収入の確認方法が異なるため、事前に確認しておくと安心です。
転職で年収が増えても借入可能額が増えるとは限らない
転職によって給与が増えた場合でも、住宅ローンの借入可能額が必ず増えるとは限りません。
一般的に住宅ローンの申込時には、源泉徴収票など収入を確認するための書類が求められます。
しかし転職直後の場合、新しい勤務先で1年間勤務した実績がないため、前年の源泉徴収票だけでは現在の年収を判断できないことがあります。
そのため、金融機関によっては給与明細、雇用契約書、採用通知書、年収見込証明書などを確認し、現在の収入や今後の見込みをもとに返済能力を判断します。
賞与などの扱いについても金融機関によって異なるため、転職後に年収が増えた場合でも、希望する借入額で申し込めるか事前に相談しておくことをおすすめします。
転職直後に住宅ローンを利用する方法
すでに転職している場合でも、住宅ローンを検討する方法はあります。転職直後の方が確認しておきたいポイントを紹介します。
金融機関へ転職理由や職歴を相談する
住宅ローンを申し込む際は、転職した時期や理由、現在の仕事内容などを金融機関へ正確に伝えましょう。
たとえば、同じ業種や職種でキャリアアップを目的として転職した場合など、これまでの職歴を含めて確認されるケースもあります。
金融機関によっては、勤続年数が短い場合に職歴書などの追加書類を求めることもあります。
フラット35を検討する
勤続年数が短い場合は、「フラット35」を選択肢の一つとして検討する方法もあります。
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。
公表されているフラット35の基本的な利用条件には、一般的な民間住宅ローンで見られる「勤続○年以上」といった勤続年数の条件は示されていません。
ただし、年収や総返済負担率、対象住宅などの要件があり、転職直後であれば必ず利用できるという意味ではありません。必要書類や収入確認の方法についても、取り扱う金融機関へ確認しましょう。
勤続年数が長くなるまで待つ
国土交通省の調査では、勤続年数を審査項目とする金融機関のうち、「1年以上」を具体的な基準として回答している金融機関が最も多くなっています。
すぐに住宅を購入する必要がない場合は、勤続年数が長くなるまで待つことで、選べる住宅ローンが広がる可能性があります。
一方で、希望する物件との出会いや家族のタイミングもあります。単純に「1年待てばよい」と決めるのではなく、現在利用できる住宅ローンがないか確認したうえで判断するとよいでしょう。
転職直後の住宅ローンで必要になることがある書類
転職直後に住宅ローンを申し込む場合、通常の収入証明書類に加えて、現在の勤務状況や収入を確認するための書類を求められることがあります。
- 給与明細
- 雇用契約書
- 採用通知書
- 年収見込証明書
- 職歴書
- 前職や現在の勤務先の収入を確認できる書類
実際に必要となる書類や対象となる期間は金融機関によって異なります。転職直後に住宅ローンを検討する場合は、申し込み前に必要書類を確認しておくことで、手続きを進めやすくなります。
こんな場合は住宅ローンの申込前に相談しよう
転職を予定しているからといって、住宅購入をあきらめる必要はありません。ただし、次のようなケースでは、住宅ローンを申し込む前に金融機関や住宅会社へ相談しておくと安心です。
- 数か月以内に転職する予定がある
- 転職してから1年未満である
- 転職によって年収が大きく変わった
- 基本給は上がったが、賞与の割合が変わった
- 同業種ではなく異業種へ転職した
- 雇用形態が変わった
- 住宅ローンの事前審査・本審査中に転職する予定がある
- 希望する物件があり、勤続年数が長くなるまで待つか迷っている
「転職したばかりだから住宅ローンは無理だろう」と自己判断せず、現在の収入や職歴、今後の働き方などを整理したうえで相談することで、自分に合った選択肢を見つけやすくなります。
住宅ローン返済中に転職する場合の注意点
住宅ローンの融資実行後に転職する場合でも、金融機関への手続きや今後の返済計画について確認しておきたいポイントがあります。
勤務先変更の届出を確認する
住宅ローン申込時や契約時に届け出た勤務先などの情報に変更があった場合、金融機関への届出が必要になることがあります。
必要な手続きは金融機関や契約内容によって異なるため、転職した場合は借入先へ確認しましょう。
返済計画を見直す
転職によって収入が減る場合は、これまでの返済プランが家計に合わなくなる可能性があります。
返済が難しくなることが予想される場合は、問題が大きくなる前に金融機関へ相談することが大切です。返済条件の変更などについて相談できる場合があります。
住宅ローン控除の手続きを確認する
住宅ローン控除を利用している方が転職する場合は、年末調整や確定申告の手続きも確認しておきましょう。
住宅ローン控除は、原則として適用を受ける最初の年に確定申告が必要です。給与所得者の場合、2年目以降は一定の条件を満たせば年末調整で控除を受けることができます。
ただし、年の途中で退職し、その年の年末調整を受けられない場合などは、自分で確定申告が必要になるケースがあります。
転職時期や勤務状況によって必要な手続きが変わることがあるため、国税庁の案内や勤務先へ確認しましょう。
住宅ローンと転職に関するよくある質問
Q. 転職して何か月なら住宅ローンを組めますか?
必要な勤続期間は金融機関によって異なります。勤続1年以上を基準とする金融機関が多い一方、転職直後や勤続数か月でも申し込める場合があります。まずは希望する金融機関の申込条件を確認しましょう。
Q. 転職直後でもフラット35は利用できますか?
フラット35の公表されている基本的な利用条件には、「勤続○年以上」といった勤続年数の基準は示されていません。そのため、転職直後でも選択肢の一つとして検討できます。ただし、年収や総返済負担率、住宅などについて審査があります。
Q. 住宅ローンの審査中に転職しても大丈夫ですか?
審査中に転職すると、申込時に申告した勤務先や収入などの条件が変わるため、追加確認や再審査、借入条件の変更となる可能性があります。転職予定がある場合は、事前に金融機関へ相談しましょう。
Q. 住宅ローン返済中に転職したらどうなりますか?
融資実行後に転職したことだけを理由に、直ちに住宅ローンが利用できなくなるわけではありません。ただし、勤務先変更の届出などが必要になる場合があります。また、収入が変化する場合は返済計画も見直しておきましょう。
まとめ
転職したばかりでも、住宅ローンを利用して家を購入できる可能性はあります。
一方で、多くの金融機関が勤続年数を住宅ローン審査の項目としており、転職のタイミングや転職後の収入によっては、利用できる金融機関や借入条件が変わる場合があります。
大切なのは、「転職したから住宅ローンは無理」「1年経つまで絶対に申し込めない」と一律に判断しないことです。
転職前、転職直後、住宅ローン審査中、融資実行後では、それぞれ確認すべきポイントが異なります。
住宅購入と転職を同じ時期に考えている場合は、物件探しだけでなく、住宅ローンや資金計画についても早めに相談しておくと安心です。










