住宅ローンを利用すれば、自己資金の少ない方でも理想のマイホームを手に入れることが可能です。
ただし、住宅ローンを利用するには、金融機関の審査に通ることが大前提。
必要書類を漏れなく用意し、体調も整え、準備万端の体制で審査に臨みたいものです。
ここでは、住宅ローンの申し込みから融資実行までの流れを、金融機関の審査を中心にお伝えします。
全体の流れを把握した上で、夢のマイホームを勝ち取りましょう。
住宅ローンを利用するまでの流れ
最初に、住宅ローンの融資が実行されるまでの大まかな流れについて確認しましょう。
(1)事前審査に申し込む
↓(1日~1週間後)
(2)事前審査の結果通知
↓
(3)工事請負契約または不動産売買契約の締結
↓
(4)本審査に申し込む
↓(2~3週間後)
(5)本審査の結果通知
↓
(6)住宅ローンの契約・融資実行
このように、申し込みからローン実行までに最短でも2週間はかかります。
なお、注文住宅を建てる場合は、(3)で施工会社と工事請負契約を結んだ後に着工となりますから、融資実行までに数ヵ月はかかるでしょう。
建売住宅を購入される方の場合、審査結果が出るまでの時間に余裕があると思われがちですが、必要書類の準備に手間取ることもありますし、審査に通らなかったときには別の金融機関に申し込むなど、意外と短く感じる方が多いようです。
書類の不備で審査に落ちるといった無駄な時間ができないよう、ゆとりをもって準備を始めることをおすすめします。
それでは、上記の流れにあわせて住宅ローン実行までの流れを詳しく解説しましょう。
(1)事前審査に申し込む
住宅ローンの審査は、「事前審査(仮審査)」と「本審査」の2回に分けて実施されるのが一般的です。
審査内容は、それぞれ目的やチェックする人が異なりますから、内容をあらかじめ把握しておくことも、審査に通るためのポイントといえます。
事前審査の目的と内容
事前審査は、金融機関が「申込者の返済能力」をチェックするのが主な目的です。
年収や年齢、借入期間、希望額といった申込内容から、滞りなく返済できるかをチェックします。
なお、金融機関によっては事前審査のことを「仮審査」と呼ぶところもあります。
事前審査の申し込み方法と時期
事前審査の申し込みは、金融機関の窓口でも対応してくれますが、最近はオンラインで申し込めるところも増えています。
オンラインを利用すれば、金融機関に足を運んだり必要書類を提出したりする手間を省けますし、審査結果も早く分かるというメリットもあります。
事前審査の申し込みはいつでも可能ですが、注文住宅なら「建築費用の見積概算が出るまで」に、建売住宅なら「物件を決めるまで」に申し込みましょう。
事前審査の必要書類
オンラインで申し込む場合でも、本人確認や収入を証明する書類などが求められますから、必要書類を確認した上で準備します。
事前審査で求められる主な必要書類は、以下の通りです。
金融機関によって若干異なりますから、ホームページなどで必ず確認してから用意しましょう。
・健康保険証
・本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)
・源泉徴収票または確定申告書のコピー
・課税証明書または住民税決定通知書(給与所得者のみ)
・事業税納税証明書(自営業者のみ)
…など
(2)事前審査の結果通知
オンラインで申し込んだ場合、翌日までに審査結果を通知してくれる金融機関もあります。窓口で申し込んだ場合は、遅くとも1週間以内に結果を伝えてくれます。
(3)工事請負契約または不動産売買契約の締結
事前審査に受かったら、注文住宅を建てる方は施工会社と工事請負契約を、建売住宅を購入される方は不動産会社と不動産売買契約を結びます。
ここで結んだ契約書が、次の本審査で確認されますから、契約後、速やかに本審査の申し込みをしましょう。
手付金に関する注意点
施工会社または不動産会社と契約を結ぶ際には、「手付金(契約金)」を支払うのが通例です。
手付金とは、契約の証として現金で支払うもので、引き渡し後に住宅購入費の一部に当てられます。
金額は会社によって異なりますが、相場は建築費または住宅販売価格の5~10%のところが多いようです。
結構な額になる手付金ですが、買主側の事情で契約を破棄する場合には、原則として返還されません。
ここで問題なのが、住宅ローンの本審査に通らないことが原因で契約を破棄するときです。
施工会社または不動産会社によっては、審査に通らなかった場合には返還してくれるといった特約を設けているところもあります。
トラブルにならないためにも、契約前にしっかり確認しましょう。
(4)本審査に申し込む
工事請負契約または不動産売買契約を結んだら、住宅ローンの本審査に申し込みます。
本審査では、金融機関だけでなくローン保証会社や保険会社なども審査に加わるため、審査期間が長くなります。
本審査の目的と内容
本審査では、「物件の担保力」と「申込者の健康状態」をチェックするのが主な目的です。
物件の担保力とは、土地や建物の評価額のこと。もしも契約者が返済できなくなった場合、金融機関は物件を競売にかけるなどして回収に動きます。
しかし、その売却額が融資額を下回ると、金融機関は損をすることになります。
これを防ぐために、保証会社と一緒に物件の担保力を確認するのです。
一方、申込者の健康状態とは、団体信用生命保険に加入できるかを確認する作業です。
団体信用生命保険は、契約者が亡くなるなど万一のことがあって返済できなくなった場合に、保険会社が残債を肩代わりしてくれるというもの。
そこで本審査では、保険会社が契約者の健康状態について問診で確認することになっています。
なお、多くの金融機関では、保険への加入を義務付けていますから、加入できない方は住宅ローンが利用できません。
健康管理も、住宅ローン審査に必要なことなのです。
本審査の申し込み方法
本審査では、施工会社や不動産会社と結んだ契約書を始め、多くの必要書類を求められます。
このため、申し込みは金融機関の窓口か郵送するのが一般的です。
本審査の必要書類
本審査で求められる主な書類は以下の通りです。
事前審査と重複する書類もありますから、必要に応じて2通用意するなど効率的に準備を進めましょう。
なお、必要書類は金融機関によって若干異なります。事前に確認の上、提出しましょう。
・健康保険証
・本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)
・源泉徴収票または確定申告書のコピー
・課税証明書または住民税決定通知書(給与所得者のみ)
・事業税納税証明書(自営業者のみ)
・不動産売買契約または工事請負契約のコピー
・物件概要がわかる資料(建築図面、建築確認済証など)
・重要事項説明書のコピー
・住民票(家族全員が記載されたもの)
・印鑑証明書
・預金通帳のコピー
…など
(5)本審査の結果通知
本審査では、金融機関のほかローン保証会社や保険会社も審査を行うため、結果が出るまでに時間を要します。
目安としては、2~3週間くらいです。
建売住宅を購入する場合、不動産会社と契約を結んでから本審査が始まることを前提に、入居時期などのスケジュールを立てることが求められます。
審査に通らないことも予測し、余裕をもって行動することが大切です。
(6)住宅ローンの契約・融資実行
本審査に通ったら、いよいよ住宅ローンの契約です。
この契約のことを、「金銭消費貸借契約」といいます。
金融機関との契約に加え、団体信用生命保険や火災保険などの契約も一緒に行うのが一般的です。
また、登記に必要な書類も作成しますので、司法書士と一緒に確認しましょう。
これらがすべて完了したら、融資の実行に移ります。
金融機関の担当者に融資実行を依頼し、手付金を除く額を清算したら手続き完了です。
契約時に必要なもの
契約時にも、必要書類などが求められます。
主なものは以下の通りですが、あらかじめ施工会社などに確認をして準備しましょう。
・本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)
・住民票(家族全員が記載されたもの)
・預金通帳(キャッシュカード)
・実印および印鑑証明書
・収入印紙
…など
利用しない金融機関にはキャンセルの連絡を
審査に通らないことを想定し、複数の金融機関に申し込んでいた方は、利用しない金融機関にキャンセルの連絡をしましょう。
このとき注意したいのが、契約後にキャンセルをすると解約手数料が生じること。
契約後に、好条件の金融機関から審査通知を受けて、解約するというケースもみられます。
すべての結果がわかってから、好条件の金融機関と契約するのが効率的です。
住宅ローン控除を受けるために確定申告もお忘れなく
住宅ローン利用者の特権ともいえる「住宅ローン控除」。
年末時のローン残高の0.7%分が所得税などから控除され、新居に住み始めてからの家計負担を軽くしてくれる減税制度です。
住宅ローン控除を受けるには、翌年に管轄の税務署で確定申告を行う必要があります。
申告期間は、住み始めた翌年の2月16日から3月15日まで。
給与所得者は1月から受け付けてくれますから、忘れないように申告しましょう。
まとめ
住宅ローンの融資実行をできるだけ早く進めるには、必要書類などを事前に準備するのはもちろん、「審査に落ちないこと」も重要です。
審査に通らない理由は、書類の不備といったケアレスミスもあれば、収入に見合わない借入希望額を申し込んだケースなど、人それぞれ異なります。
住宅ローンの申し込みをする前には、現在の収入でどれだけ借り入れできるかを調べたり、返済額をシミュレーションしたりすることも、審査に通りやすくするためのポイントです。
審査に一回で通るよう、しっかり準備をした上で審査に臨みましょう。