マイホームの購入において、住宅ローンを活用される方がほとんどです。
住宅ローンは、自己資金が少なくとも何千万円もする住宅の購入が可能となります。
しかし、住宅ローンは申込みをすれば誰もが使えるものではなく、金融機関による「審査」をクリアすることが必要です。
ここでは、住宅ローンの審査の流れを中心に、融資までの流れと注意すべきポイントをお伝えします。
住宅ローンの融資実行までの流れ
まず、住宅ローンの融資実行までの流れについて、簡単に紹介します。
1.どれくらい借りられるかを把握する
2.借入先の金融機関と金利タイプを選ぶ
3.金融機関に「事前審査」を申し込む
4.審査結果の通知(申し込みから1日~1週間)
5.工事請負契約(不動産売買契約)を結ぶ
6.金融機関に「本審査」を申し込む
7.審査結果の通知(申し込みから2~3週間)
8.住宅ローンの契約
9.融資実行
以上がおおまかな流れです。
住宅ローンの審査には、「事前審査」と「本審査」という2つの審査があります。
それぞれに申し込む必要がありますが、申し込むタイミングは、以下のようになっています。
◯事前審査に申し込むタイミング
・注文住宅は、施工会社から建築費用の概算が出るまでに申し込む
・建売住宅は、物件を決定するまでに申し込む
◯本審査に申し込むタイミング
・注文住宅は、施工会社と工事請負契約を結んだ後に申し込む
・建売住宅は、不動産売買契約を結んだ後に申し込む
事前審査は、建築費用がわかる前や物件を決定する前なら、いつでも申し込めます。
希望額を借り入れできるか確認する上でも、早めに行動すると良いでしょう。
また、本審査は施工会社や不動産会社と契約を結んだら、速やかに申し込むことがポイントです。
事前審査と本審査の目的とは?
金融機関の審査はなぜ「事前審査」と「本審査」の2段階構成になっていますが、これは審査の目的がそれぞれで異なるからです。
それぞれの目的を見ていきましょう。
事前審査の主な目的
事前審査の目的は、申込者の返済能力を確認することです。
現在の年収や年齢、借入希望額といった様々な条件を確認し、完済まで滞ることなく返済できるかを金融機関がチェックすることが、事前審査の大きな目的です。
本審査の主な目的
それに対して、本審査は物件の担保力や契約者の健康状態を確認することが目的です。
契約者が住宅ローンを返済できなくなった場合、金融機関は住宅を売却するなどして残債を回収することになります。
その際に物件の評価額が残っている住宅ローンの残額よりも安ければ金融機関は損失を出すことになります。このような状態になることを防ぐために物件の担保力をチェックするというのが本審査の目的の一つです。
また、住宅ローンを利用される方の多くが「団体信用生命保険」、通称「団信」というものに加入します。
団体信用生命保険とは、契約者が亡くなった場合や重度の障害を負うなど、住宅ローンの返済ができなくなったときに、保険会社が残りの住宅ローンを肩代わりしてくれるというものです。
住宅ローンの本審査では、契約者が団体信用生命保険に加入できる健康状態であるかのチェックも行われます。
このように、事前審査では返済能力をチェックし、本審査では物件の担保力や契約者の健康状態が目的となっています。
住宅ローンの事前審査(仮審査)のポイント
続いて、各審査での必要となるものや審査のポイントを見ていきましょう。
事前審査の審査基準
事前審査の主な目的は住宅ローン申込者の返済能力をチェックすること。
金融機関では、申込者の「現在の年齢」「完済時の年齢」「年収」「勤続年数」「返済負担率」、「他ローンの借入状況」などの項目から、借入希望額を返済できるかを確認します。
たとえば年齢でみると、完済時の年齢が定年前であることがポイントの一つ。
完済時まで安定した収入があることも審査基準の重要な要素になりますから、65歳までに返済できるよう返済期間や借入額で調整するのが望ましいでしょう。
また、勤続年数も安定した収入があることを表す上で大切なポイントです。
一般的には3年以上だと通りやすいといわれています。
しかし、勤続年数を問わない住宅ローンもありますので、起業や転職して間もない方はフラット35などの勤続年数を求めない住宅ローンを選ぶと良いでしょう。
おおまかな借入可能額を知る方法
住宅ローンの借入可能額を求める上で、一つの目安になるが「返済負担率」という考え方があります。
返済負担率とは「年間の返済額を収入で割った割合」のことで、この計算を行うことで現在の年収から大まかな借入可能額を確認できます。
年収400万円の方が、年間100万円を返済する場合、返済負担率は100万円÷400万円=25%となります。
金融機関では、この返済負担率も審査基準の一つとしており、20~25%以下であれば審査にクリアしやすいといわれます。
おおまかに返済期間35年で計算すると、
年収400万円:2,800万円(20%)、3,500万円(25%)
年収500万円:3,500万円(20%)、4,375万円(25%)
年収600万円:4,200万円(20%)、5,250万円(25%)
といった計算となります。
※年収×返済負担率×返済期間35年
なお、利息分の支払いもあるため、その点を考慮する必要があります。
金融機関のホームページでも現在の年収を元にした借入額のシミュレーションを用意している場合もあるので、借入を検討している金融機関があれば活用してみましょう。
事前審査で必要な書類
一般的に、事前審査で必要とされる書類は以下の通りです。
・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
・収入が確認できる書類(源泉徴収票、確定申告書など)
・課税証明書または住民税決定通知書(給与所得者のみ)
金融機関によって異なる場合もありますので、事前に確認は必要です。
事前審査に通ったら工事請負契約(不動産売買契約)
金融機関による事前審査に通ったら、施工会社と工事請負契約を結び、建売住宅の場合は不動産会社と不動産売買契約を結びます。
契約の際には、施工会社または不動産会社に「手付金」を支払います。
手付金の相場は物件価格の5~10%程度となっており、予め用意する必要があります。
なお、契約書の内容によりますが、本審査で落ちたときに手付金が戻ってこない場合もあります。契約書に手付金が戻ってくる特約などが記載されているか、記載されていない場合は施工会社または不動産会社に確認を行いましょう。
住宅ローンの本審査のポイント
施工会社と工事請負契約(または不動産会社と不動産売買契約)を結んだら、金融機関に本審査を申し込みます。
本審査のポイントや必要書類を紹介します。
本審査の審査基準
本審査でも、事前審査と同様に申込者の年齢や収入などが改めてチェックされますが、本審査の主目的は「物件の担保力や契約者の健康状態の確認」です。
物件は、ローン保証会社も一緒にチェックします。
新築住宅であれば基本的に審査をクリアしますが、耐震基準を満たしていないなど違法性のある建物や築年数が古くて担保力が乏しいとみなされた場合は、審査に落ちることがあります。
また、契約者の健康状態については団体信用生命保険に加入できるか確認することが目的ですので、保険会社が用意した問診に答える程度です。会社によっては健康診断の結果が必要になるケースはあるため、事前に用意する書類を確認しておきましょう。
本審査で必要な書類
本審査で必要とされる書類は、以下の通りです。
・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
・健康保険証
・収入が確認できる書類(源泉徴収票、確定申告書など)
・課税証明書または住民税決定通知書(給与所得者のみ)
・事業税納税証明書(自営業者のみ)
・住民票(家族全員が記載されたもの)
・印鑑証明書
・預金通帳のコピー
・不動産売買契約または工事請負契約のコピー
・物件概要がわかる資料(建築図面やパンフレット、建築確認済証など)
事前審査と同様に金融機関によって異なることもありますので、事前に確認しましょう。
一部、事前審査と重なる書類もあるので、あらかじめ2通用意しておくと手間を省けます。
本審査に通ったら住宅ローンを契約
本審査に通れば、金融機関と金銭消費貸借契約を結びます。
このタイミングで団体信用生命保険や火災保険の契約も一緒に結ぶのが一般的です。
複数の金融機関に住宅ローンの申し込みをしている場合、利用しない金融機関にはキャンセルを申し入れる必要があります。
金銭消費貸借契約を結んだ後にキャンセルをすると解約手数料が発生しますので、どの金融機関を選ぶか十分に検討した上で契約を行いましょう。
住宅ローンの融資実行
契約を締結したら、いよいよ住宅ローンの融資実行です。
金融機関の担当者、施工会社の担当者、司法書士などが集まり、融資内容を確認した上で、抵当権の設定を含めた登記登録の手続きを行います。
その後、金融機関の担当者に融資の実行を依頼し、手付金を除く建築費用を清算して手続きが完了します。その後、司法書士から登記完了の書類が送られてきますので保管しておきましょう。
まとめ
住宅ローンを利用するには事前の準備をしっかり行うことが大切です。
初めて利用される方だと、何かと不安な点もあるかと思いますが、横尾材木店には住宅ローンアドバイザーを始めローン業務に精通したスタッフが数多く在籍しています。
お客様の状況や希望に沿った住宅ローンをご提案が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。