地震や台風、線状降水帯による大雨など、日本ではさまざまな自然災害への備えを考えながら住まいを選ぶことが大切です。
ただし、「災害に強い家」とは、あらゆる災害を完全に防ぐ家という意味ではありません。土地の特徴を知り、建物の耐震性や耐風性、浸水への備え、災害後の暮らしまで考えておくことで、安心材料を増やしていくことができます。
この記事では、災害に強い家の特徴や住まい選びで確認したいポイント、災害への備えに役立つ設備などをわかりやすく解説します。これから家づくりや住まい選びを考えている人は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
災害に強い家とは?
災害に強い家とは、地震・台風・豪雨・土砂災害などによる被害をできるだけ抑えられるよう、立地・建物性能・設備・災害への備えを総合的に考えた住まいです。
たとえば、地震への備えでは耐震性能や地盤、水害への備えではハザードマップや土地の高低差、停電・断水への備えでは太陽光発電や蓄電池、貯湯設備などが確認ポイントになります。
そのため、「耐震性が高ければすべての災害に強い」と考えるのではなく、土地の特徴から建物の構造、設備、災害後の暮らしまで含めて考えることが大切です。
災害への備えが住まい選びで大切な理由
近年は地震だけでなく、台風や線状降水帯、集中豪雨など、さまざまな自然災害が発生しています。
2026年7月に発生した熊本地震では大きな揺れに加えて停電や断水が発生し、災害後の生活を支える備えの重要性があらためて確認されました。
また、2026年8月の千葉豪雨では線状降水帯に伴う大雨によって各地で浸水が発生しました。さらに同年9月の台風25号では、北印旛沼周辺で堤防の破堤や浸水被害も発生しています。
こうした事例からわかるのは、「危険な場所を避ければよい」ということではなく、その土地でどのような災害が想定されているのかを知り、必要な備えを考えておくことの大切さです。
ハザードマップや土地の高低差、周辺の排水環境などを確認し、建物性能や設備、避難方法と組み合わせて考えることで、安心材料を増やしながら住まいを選ぶことができます。
災害リスクを確認することは、家づくりを不安にするためではありません。土地や周辺環境の特徴を知り、それに合った住まい方や備えを考えるための大切なプロセスです。
参考:
東京海上ディーアール「令和8年熊本地震について」
東京海上ディーアール「令和8年8月千葉豪雨―浸水被害の概況と都市型水害への備え」
千葉県「印旛沼の被災箇所の対応状況について」
災害別に確認したい住まいのポイント
災害に強い家を考える際は、一つの性能だけを見るのではなく、想定する災害に応じて確認するポイントを整理しておくとわかりやすくなります。
| 災害 | 確認しておきたいポイント |
|---|---|
| 地震 | 耐震等級、構造バランス、地盤、制震・免震、家具の転倒対策など |
| 豪雨・内水氾濫 | 土地の高低差、周辺道路、排水環境、内水ハザードマップなど |
| 河川の氾濫 | 洪水ハザードマップ、浸水想定、河川との位置関係など |
| 台風・強風 | 屋根・外壁、窓、シャッター、飛来物への備えなど |
| 土砂災害 | 土砂災害警戒区域、斜面との位置関係など |
| 停電・断水 | 太陽光発電、蓄電池、貯湯設備、水・食料などの備蓄 |
すべての災害に対して一つの設備だけで備えることはできません。土地の特徴や想定される災害を把握したうえで、必要な住宅性能や設備をバランスよく組み合わせることが大切です。
災害に強い家の主な特徴
災害に強い家の主な特徴として、以下のようなポイントが挙げられます。
- 耐震性に優れている
- 間取りがシンプルに設計されている
- 構造がシンプルに設計されている
- 災害に備えた設備が充実している
- 地盤や立地の特徴を確認している
耐震性に優れている
災害に強い家の特徴の1つとして、耐震性に優れている点が挙げられます。
地震時の揺れに住宅が耐えられるよう、耐震等級や構造計算などをもとに設計し、柱・梁・壁の配置バランスを整えることで、地震の力を建物全体で受け止めることを目指します。
耐震性能を比較する際の代表的な指標が「耐震等級」です。住宅性能表示制度では耐震等級1~3に分けられ、耐震等級3が最高等級です。
耐震等級2は等級1で想定する地震力の1.25倍、耐震等級3は1.5倍の地震力に対して倒壊・崩壊しない程度の性能が基準とされています。
また、耐力壁や制震・免震などを組み合わせる方法もあります。「地震に強い」という表現だけでなく、耐震等級など客観的に確認できる性能をチェックすると、住宅を比較しやすくなります。
間取りがシンプルに設計されている
災害への強さを考えるうえでは、壁や柱をバランスよく配置できる間取りもポイントになります。
建物の一部に負担が偏らないように計画するとともに、家具の転倒によって避難経路がふさがれにくい配置など、室内の安全性を考えることも大切です。
開放的なLDKなどを設ける場合も、必要な耐力壁や柱を適切に配置し、構造上のバランスと暮らしやすさを両立させることが重要です。
構造がシンプルに設計されている
建物の形状や骨組みは、できるだけ力の偏りが生じにくいように計画することが大切です。
凹凸を抑えた建物形状や、バランスよく配置された耐力壁などは、地震や強風などの外力を建物全体で受け止めやすくする考え方の一つです。
ただし、建物の形状だけで災害への強さが決まるわけではありません。構造計画や使用する部材、施工品質なども含めて総合的に確認する必要があります。
災害に備えた設備が充実している
停電や断水など、災害後の生活を意識した設備が整っていることも、安心につながるポイントです。
太陽光発電や蓄電池などによる電力確保、貯湯設備、窓やシャッターなどの強風・飛来物への備えなど、災害の種類に応じてさまざまな方法があります。
「災害に耐える」ことだけでなく、「災害後の暮らしをどのように続けるか」という視点も、これからの家づくりでは大切です。
地盤や立地の特徴を確認している
災害に強い住まいを考える際は、建物の性能だけでなく、その土地の特徴を知ることも重要です。
地震については地盤の状態や液状化の可能性、水害については洪水や内水氾濫の想定、土砂災害については土砂災害警戒区域などを確認すると、その土地にどのような備えが必要なのかを考えやすくなります。
特に近年の集中豪雨では、河川から水があふれる「外水氾濫」だけでなく、短時間の大雨によって下水道や側溝などの排水能力を超える「内水氾濫」が発生するケースもあります。
ハザードマップとあわせて、周囲との高低差や道路、側溝などの周辺環境も確認しておくと、より土地の特徴を理解しやすくなります。
また、建築前には地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良を実施します。大切なのは「災害リスクがまったくない土地」を探すことではなく、土地ごとの特徴を理解し、必要な対策を考えながら住まいづくりを進めることです。
災害に強い家の実現に役立つおすすめ設備
災害への備えを考えた住まいづくりでは、以下のような設備も役立ちます。
- エコキュート
- 太陽光発電
- 蓄電池
- 電動シャッター
- 造作家具・収納
エコキュート
エコキュートは、空気の熱を利用してお湯を沸かし、貯湯タンクにお湯をためておく家庭用給湯システムです。
貯湯式のため、災害などで断水した場合でも、機種によってはタンク内の湯水を非常用取水栓などから取り出し、生活用水として利用できる場合があります。
ただし、災害時の利用方法や停電・断水時の操作方法はメーカーや機種によって異なり、タンク内の水をそのまま飲用できない場合もあります。平常時から取扱説明書やメーカーの案内を確認しておくと安心です。
太陽光発電
太陽光発電は、停電した際にも条件が整えば、自宅で発電した電気を利用できることがメリットです。
日中に発電した電気を照明や通信機器、一部の家電などに利用できれば、情報収集や連絡手段を確保する助けになります。
なお、停電時に太陽光発電の電気を利用するには、自立運転機能への切り替えなどが必要な場合があります。操作方法や使用できる電力量はメーカーや機種によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
蓄電池
蓄電池は、電気をためて必要なときに使用できる設備です。太陽光発電と組み合わせることで、停電時の電力確保に役立ちます。
発電できない夜間などでも、あらかじめ蓄えた電気を冷蔵庫・照明・通信機器などに利用できるため、災害後の生活を支える設備の一つです。
使用できる時間や家電は蓄電池の容量やシステムによって異なるため、導入する場合は「停電時に何を使いたいか」まで考えて容量を選ぶとよいでしょう。
電動シャッター
シャッターは、台風や強風時に飛来物から窓を守るための備えとして役立ちます。
電動タイプであれば、室内から操作できるため、天候が悪化する前に比較的手軽に閉めることができます。
窓ガラスの破損による二次被害を抑えるほか、普段の防犯性や日射対策にも役立つ設備です。
造作家具・収納
造作家具や壁面固定型の収納は、地震時に家具が転倒するリスクを抑えるための工夫の一つです。
家具の転倒によって通路がふさがれることを防ぎやすく、避難動線を確保することにもつながります。
また、パントリーや収納スペースに飲料水・食料・簡易トイレなどを保管しておけば、日常生活の中で無理なく備蓄を管理できます。
災害に強い家でより安心して暮らすためのポイント
建物や設備だけでなく、暮らしの中での備えも安心につながります。以下のポイントを確認しておきましょう。
- ハザードマップを確認しておく
- 災害時の対応をシミュレーションしておく
- 備蓄品を用意しておく
- 災害時の負担を軽減できる保険を確認する
ハザードマップを確認しておく
ハザードマップは、その地域で想定されている災害の特徴を知るための資料です。
洪水や内水氾濫、土砂災害などの想定区域を確認することで、住宅計画や日頃の備え、避難方法を考える際の参考になります。
ただし、ハザードマップに色が付いているから住めない、色が付いていないから災害が起こらない、というものではありません。
土地の特徴を理解したうえで、建物や設備でどのような対策を考えるか、避難場所や避難経路をどうするかまで確認しておくことが、安心した住まいづくりにつながります。
災害時の対応をシミュレーションしておく
災害への備えでは、住宅性能だけでなく、実際に災害が発生した際にどのように行動するかを家族で共有しておくことも大切です。
停電・断水・通信障害が発生した場合の対応や、家族が別々の場所にいるときの連絡方法、集合場所などをあらかじめ話し合っておくと、いざというときの判断がしやすくなります。
また、自宅周辺の避難場所や避難経路を実際に歩いて確認しておくのもおすすめです。
備蓄品を用意しておく
災害に備えた住宅であっても、一時的にライフラインが使えなくなる可能性があります。
内閣府では、食料や飲料水などについて最低3日分、できれば1週間分程度の備蓄を推奨しています。
- 飲料水・食料
- 携帯トイレ・簡易トイレ
- ライト
- モバイルバッテリー
- カセットコンロ
- 医療用品・常備薬 など
普段使っている食品や生活用品を少し多めに購入し、使った分だけ補充する「ローリングストック」を取り入れると、無理なく備蓄を続けやすくなります。
季節や家族構成によって必要なものは異なるため、定期的に備蓄内容を見直しましょう。
災害時の負担を軽減できる保険を確認する
建物や設備で災害への備えをしていても、自然災害による被害を完全に防ぐことはできません。
火災保険や地震保険などを確認しておくことで、万が一被害を受けた際の修理費用や生活再建にかかる経済的な負担を軽減できます。
火災保険でも風災・水災などの補償内容は契約によって異なります。住宅を購入したときだけでなく、生活環境や家族構成が変わったタイミングなどに内容を見直すと安心です。
災害に強い家についてよくある質問
木造・鉄骨造・RC造ではどれが災害に強いですか?
木造・鉄骨造・RC造にはそれぞれ特徴があり、構造の種類だけで災害への強さを決めることはできません。耐震等級や構造計画、施工品質、地盤、立地などを含めて総合的に確認することが大切です。
災害に強い土地はどのように調べればよいですか?
まずは国土交通省や自治体のハザードマップを確認し、洪水・内水氾濫・土砂災害など、その地域で想定されている災害を把握しましょう。
さらに現地で周囲との高低差や道路、排水環境などを確認し、建築時には地盤調査を行うことで、土地についてより具体的に把握できます。リスクの有無だけで判断するのではなく、必要な対策を含めて総合的に考えることが重要です。
耐震等級3なら大きな地震でも絶対に壊れませんか?
耐震等級3は住宅性能表示制度における最高等級ですが、あらゆる地震で建物に被害が発生しないことを保証するものではありません。
耐震性能は住まいの安心を考えるうえで重要な指標の一つです。それに加えて、地盤や構造計画、施工品質、家具の転倒防止なども含めて備えることが大切です。
ハザードマップに色が付いている土地は避けた方がよいですか?
ハザードマップに色が付いていることだけで、その土地が住宅地として適していないと判断するものではありません。
想定される災害の種類や浸水深などを確認したうえで、土地の高さや建物計画、避難経路、保険などを含めて総合的に判断しましょう。ハザードマップは土地を選別するためだけでなく、その土地で安心して暮らすために必要な備えを考える資料として活用することが大切です。
災害に強い家づくりを実現して万が一に備えよう
災害に強い家づくりでは、建物の強さだけではなく、土地の特徴、建物性能、設備、災害後の暮らしまで一体で考えることが大切です。
近年の地震や豪雨などの事例も、「家づくりが怖い」と考える材料ではなく、これから住まいを選ぶうえでどのようなポイントを確認すると安心につながるのかを知るきっかけとして活用できます。
ハザードマップで土地の特徴を確認する、耐震性能を確認する、停電や断水に備えた設備を検討する、家族で避難方法を話し合っておくなど、一つひとつの備えを積み重ねることが安心した暮らしにつながります。
横尾材木店では、お客様の希望する暮らしや土地の特徴などを踏まえながら、安心して住まいづくりを進められるようご提案しています。住まいの性能や災害への備えについて気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
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