頭金なしで住宅ローンを利用すれば、購入判断から契約までスムーズに進み、好条件の物件を逃さずに済むメリットがあります。転勤や子どもの入学など、急いで住まいを決めたい状況では即断即決のしやすさは強みになるでしょう。
また、金利も将来的に上昇するリスクがあるため、早めにローンを組むことで、現行の低金利を固定できる可能性があります。固定金利型のローンを選択すれば、将来的な支払い額の見通しが立ちやすく、家計の安定にもつながるでしょう。
頭金を用意するかどうかを検討する際は、物件価格と金利の動向も視野に入れたうえで、購入タイミングの見極めが大切です。
頭金なしで住宅ローンを組むデメリット・注意点
頭金なしで住宅ローンを組むことにはメリットがある一方、以下のようなデメリット・注意点もあります。
● 住宅ローン審査に通りにくい
● 毎月の返済額・総返済額が高くなる
● オーバーローンになる場合がある
● 金利上昇のリスクが高まる
住宅ローン審査に通りにくい
頭金を用意しない場合、住宅ローンの審査に通りにくくなる傾向があります。
年収や勤続年数、他のローン状況などに対する評価が厳しくなり、「返済能力に不安がある」と判断されやすくなります。フリーランスや転職直後の場合は、特に注意が必要です。
加えて、頭金を入れることで「計画的な資金管理ができる人」と見なされ、審査における信用度が高まる側面もあります。頭金なしで申し込む場合は、他の借入を減らしたり収入証明を整えたりするなどの事前準備が重要です。
問題なく審査を通過するには、自身の信用状況を把握し、可能であればFPなどの専門家に相談するのもひとつの方法です。
毎月の返済額・総返済額が高くなる
頭金なしで住宅ローンを組むと借入金額が多くなるため、毎月の返済額が大きくなりがちです。たとえば、3,000万円の物件を頭金なしで購入すれば、3,000万円全額をローンで借りることになります。
金利が同じでも、借入額が増える分だけ総返済額も膨らみ、数百万円単位の差が生じることもあります。
返済期間が長引けば利息も多く支払うことになり、結果的に家計への負担が継続することになるでしょう。ボーナス返済に頼らず生活費から賄う場合、生活水準を維持するのが難しくなる可能性もあります。
購入時には、頭金を入れた場合と入れなかった場合で、毎月・総額のシミュレーションを行い、自分にとって現実的な返済プランを見極めることが大切です。
オーバーローンになる場合がある
オーバーローンとは、借入総額が物件の価値を上回ることです。
頭金なしで住宅ローンを組む際、物件価格に加えて諸費用もすべて借入に含めると、オーバーローンになることがあります。この場合、万が一売却が必要になっても、売却価格だけではローンを完済できず、差額を自己資金で補う必要が生じます。
築年数が浅いうちは資産価値の下落も早いため、購入後すぐの転勤・転職などで売却する場合、損失につながるリスクがあります。将来的な資産価値やライフプランに変化が生じた際、選択肢を狭めてしまうため、オーバーローンの可能性を理解したうえで資金計画を立てましょう。
金利上昇のリスクが高まる
借入金額が大きくなる頭金なしローンでは、金利の上昇が家計に与える影響も大きくなります。
変動金利型の住宅ローンを選んだ場合、将来的に金利が上がれば、返済額が増えてしまうリスクがあります。将来の収入が不安定な場合や、教育費など大きな支出が控えている家庭では、金利変動による影響を受けやすいでしょう。
また、わずかな金利差でも借入額が多ければ利息総額に差が生まれ、長期的に見て数十万円〜百万円単位での負担になります。
リスクを抑えるためには、固定金利型を検討したり、金利が上がっても返済可能な余裕資金を持ったりなどの対策が必要です。
頭金なしの住宅ローンで後悔しないためのポイント
ここでは、頭金なしの住宅ローンで後悔しないためのポイントとして以下を解説します。
● 現在の家計の見直しを図る
● 長期的なライフプランを考慮する
● 追加費用(諸費用)を考慮する
● 親族からの援助も検討してみる
現在の家計の見直しを図る
住宅ローンは長期間にわたる支出となるため、ローンを組む前にまず現在の家計状況を見直すことが重要です。収入と支出のバランスはもちろん、無駄な固定費の削減や保険の見直し、日常の生活費を最適化しましょう。
家計を見直すことで、返済可能な金額の上限や、どの程度の負担まで許容できるかが明確になり、ローンの借入額や返済プランの適正化につながります。
また、返済開始後も継続的に家計を管理することで、急な支出にも対応しやすくなるでしょう。
長期的なライフプランを考慮する
住宅ローンを組む際には、現在の家計だけでなく、今後のライフプランを見据えた資金設計が重要です。
子どもの教育費や、車の買い替えや老後資金などの将来の大きな支出を見越したうえで、無理のない返済額を設定することが重要です。
頭金なしの場合は借入額が多くなるため、数十年先の家計に与える影響を想定しておく必要があります。人生には予測できないイベントもあるため、ある程度の余裕を持ったプランニングを心がけましょう。
将来的な収入の見通しやライフステージの変化も考慮し、柔軟に対応できる設計を意識することが重要です。
追加費用(諸費用)を考慮する
住宅購入時には、物件価格のほかに「諸費用」と呼ばれる以下のような費用が発生します。
● 登記費用
● ローン事務手数料
● 火災保険料
● 引越し費用 など
上記の費用は一般的に物件価格の5〜10%程度かかるとされており、頭金を入れない場合でも別途用意が必要になります。これをローンに含めるとオーバーローンになるリスクがあるため、できるだけ現金で対応できるように準備しておくのが理想です。予想外の出費に慌てないよう、事前に諸費用の内訳を把握し、資金計画に含めておきましょう。
親族からの援助も検討してみる
資金に余裕がない場合は、親や祖父母など親族からの援助も選択肢の1つです。
近年、住宅取得資金の贈与に対する非課税制度もあり、一定額までなら税金の負担なく資金提供を受けることが可能です。援助を受けられれば頭金の一部に充てられ、借入額を減らして毎月の返済負担や総返済額を軽減できるでしょう。
ただし、親族間での資金援助は後々のトラブルに発展するリスクがあるので、書面での取り交わしや贈与税の確認などを行うことが重要です。
無理に頼るのではなく、あくまで選択肢の1つとして視野に入れましょう。
住宅ローンと頭金に関するよくある質問
最後に、住宅ローンと頭金に関するよくある質問に回答します。
● 住宅ローンは頭金と繰り上げ返済どっちが得?
● 頭金は他者から借りてでも用意した方がよい?
● 頭金を多く入れれば金利優遇が受けられるって本当?
住宅ローンは頭金と繰り上げ返済どっちが得?
一概にはいえませんが、住宅ローンでは基本的に頭金をしっかり用意する方が安心です。なぜなら、借入額が少なくなれば利息が減り、毎月の返済負担や総返済額も軽くなるからです。
たとえば、3,000万円の住宅に600万円の頭金を入れると、借入額は2,400万円です。返済額が抑えられるうえ、金融機関によっては金利優遇が受けられる可能性もあります。
一方、繰り上げ返済は柔軟性がありますが、計画的に実行できないケースもあります。余裕があるなら、はじめに頭金を入れておく方が安心です。
頭金は他者から借りてでも用意した方がよい?
頭金を他人から借りてまで用意するのは推奨できません。住宅ローンの審査では「自己資金かどうか」が重要視されるため、他人から借りたお金では審査に通らないおそれがあります。
たとえ、親や知人からの借入であっても借金である以上は返済義務が発生し、金融機関の信用評価に影響します。頭金が足りない場合は、親からの「贈与」など、正式な形で援助を受ける方法を検討しましょう。
頭金を無理に借りて用意するより、審査に通りやすい方法を選ぶことが大切です。
頭金を多く入れれば金利優遇が受けられるって本当?
頭金を多く入れれば、金利優遇が受けられるというのは本当です。頭金を多めに用意することで、住宅ローンの金利優遇を受けられるケースがあります。
金融機関は、借入金額が物件価格の約80%以下になると「リスクが低い」と判断し、優遇金利を適用する傾向があるからです。
たとえば金利が0.2%下がるだけでも、35年ローンでは最終的な利息が数十万円以上変わることもあります。資金に余裕があるなら、頭金を多く入れて金利を下げる方が長期的に見て得だといえるでしょう。
住宅ローンの借入を検討するなら少しでも頭金を用意しておこう
住宅ローンは頭金なしでも組めますが、将来の返済負担や審査の通りやすさなどを考えると、少しでも頭金を用意しておくのが安心です。
無理のない範囲で初期費用を確保することで、総返済額の軽減や資金計画の自由度も広がるでしょう。資金やローンに関する不安がある人は、信頼できる工務店やハウスメーカーに早めに相談することが大切です。
埼玉・群馬・栃木・茨城を中心に注文住宅や建売住宅を扱う横尾材木店では、資金計画や住宅ローンのご相談にも丁寧に対応します。お客様に寄り添いながら最適なプランをご提案いたしますので、ぜひ横尾材木店にご相談ください。